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着物大事典
着物での観劇は非日常感を味わえるうえ、劇場や演目の雰囲気と調和し、特別な体験になります。写真映えや思い出づくりにも最適です。
しかし、観劇する際の着物選びやマナー、着付けについてよくわからないために、実際にはためらってしまう人も多いのではないでしょうか。
この記事では、着物で観劇を楽しむための着物選びやマナー、着付けのコツについて解説します。
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観劇に最適な着物選びのポイントは、観劇する演目や座席の種類、TPOに応じて選ぶことです。ここでは、観劇におすすめの着物の種類と選び方を解説します。
一部のオペラ公演を除き、観劇にドレスコードが存在することはほとんどありません。しかし、着物の場合、公演の種類や座席に合わせて選ぶのが推奨されます。
格式高い公演や一等席ではフォーマルな着物がおすすめです。格式高い公演とは、歌舞伎の初日や襲名披露、新春公演や記念公演などの特別公演、オペラなどが当てはまります。
フォーマルな着物には「訪問着」「付下げ」「色無地」「江戸小紋」などがあります。なかでも訪問着は華やかで最も格式が高く、特別な観劇に最適です。
付下げは控えめな柄の上品な雰囲気の着物で、フォーマルな場にも対応できます。色無地はシンプルですが、帯や紋の数で格を調整できる便利さがあります。江戸小紋は、1色のみの型染めで染め上げた小紋のことです。遠目には無地、近くで見ると粋な柄が入っています。
カジュアルな公演や二等席・三等席では、普段着感覚で着られる小紋や紬など、気負わない装いができる着物がおすすめです。
帯は着物に合わせて選びましょう。訪問着に向いているのは袋帯です。付下げ・色無地・江戸小紋なら名古屋帯、よりカジュアルにしたい場合は半幅帯がおすすめです。色無地は袋帯を締めれば盛装に、名古屋帯や錦織りの半幅帯を締めればカジュアル寄りになります。
観劇の際に着る着物は、白やベージュなど明るめの色が華やかでおすすめです。黒や濃い色は暗い雰囲気になりやすいため、おめでたい公演の際は注意しましょう。迷う場合は避けるのが無難です。
公演内容や演目、季節、役者にちなんだ柄や色を選ぶと粋でおしゃれに見えます。
着物で観劇に行く際は、一般的なマナーを守ることに加えて、着物特有の配慮が必要です。ここでは、観劇に着物で行く際のマナーをご紹介します。
着物は装いによって意図せず音が出てしまうことがあります。ほかの方の観劇を邪魔しないよう、音が出ない装いを心がけましょう。
綴、博多など畝のある上等な織りの帯は「絹鳴り」に注意する必要があります。絹鳴りとは、絹の布同士が擦れたときに出る「キュッ」という音です。
綴、博多など畝のある上等な織りの帯は、深く呼吸するたびにこの音が出てしまう可能性があるため、観劇では避けたほうがよいでしょう。また、下駄などの音が鳴る履物も避け、布製や革製の草履を選ぶようにします。
着物を着たときに帯が邪魔になると、つい前のめりに座りたくなるかもしれません。しかし、後ろの座席に座る方が舞台を観にくくなってしまうため、前のめりにならず、背もたれにしっかりと寄りかかって座ります。
帯はつぶれても気にならない結び方にしておきましょう。また、座席で裾や袖が乱れたり隣にはみ出したりしないよう、座席についたら裾と袂を整え、ひざかけを使うなど工夫するのがおすすめです。拍手する際には、着物の袖が邪魔にならないよう注意しましょう。
髪型はボリュームを抑え、後ろの座席に座る方の視界を遮らないようにします。高い位置での大きなお団子やボリュームのあるアップヘア、大きな髪飾りは避けましょう。
長期間保管していた着物や帯は、匂いがついていることがあるため注意が必要です。着物・帯についた樟脳やお香の強い匂いで周囲の方に不快感を与えないよう、数日前から陰干しして匂いを飛ばしておきます。
着物のときは移動や着席に時間がかかるため、余裕をもって会場入りするのがおすすめです。長時間座るため、帯や紐の締め付け具合を調整し、着崩れしにくい着付けを心がけましょう。慣れていないと時間がかかりがちなトイレは済ませておくようにします。
着物で観劇に行く際の着付けや帯結びでは、長時間座っても疲れにくく、後ろの座席に座る方の邪魔にならないことが重要視されます。
劇場の椅子はやや傾斜しており、お尻側が沈み込むような感覚があります。このような椅子では帯がせり上がってくることがあるため、帯の位置はあらかじめやや低めにすると楽に座れます。
また、帯結びはつぶれても気にならない「お太鼓結び」や「後見結び」などの結び方がおすすめです。文庫結びなどのボリュームが出る帯結びは、深く腰かけられないため避けましょう。帯枕を薄くしたり、観劇用の低反発枕(観劇枕)を使ったりすると、背中側が平らになり座りやすくなります。
帯は着崩れを防ぐため、帯締めや帯留めでしっかりと固定してください。上前幅をやや広めにとると着崩れしにくくなります。観劇では長時間座ることになるため、紐の強さを加減し、苦しくならないような着付けを心がけましょう。
観劇では、後ろの席の方へ配慮して深く腰かけるため、背中側がなるべく平らになるような帯結びにするのがおすすめです。
帯の結び方 | 特徴 |
お太鼓結び | 縦型長方形のオーソドックスな結び方。フォーマルな場や格式ある観劇(歌舞伎観劇の一等席など)に最適。 |
後見結び | 羽根先が上からのぞく左右非対称の華やかな結び方。薄く平面的で背中にぴったりと付いた形状で観劇に向いている。 |
かるた結び(半幅帯) | 横向き・長方形型の結びでカジュアルな観劇や気軽な席におすすめ。背中が平らになり、椅子にもたれても帯がつぶれず快適。 |
貝の口結び(半幅帯) | タレ先なしで結び目が斜め形状の結び方。かるた結び同様、ボリュームが出ず、シンプルで座りやすい。 |
吉弥結び(半幅帯) | たれ先が斜めに下に出る、結び目が斜め形状の結び方。平らで座りやすく、カジュアルな観劇に適している。 |
上記のような結び方であれば、深く腰かけられるため、後ろの席の方が舞台を観にくくなることがありません。
夏は汗を吸収できるよう汗取りを意識し、冬は防寒対策できる装いを心がけましょう。夏の暑さ対策には、メッシュの帯板や夏用の和装下着などのアイテムを活用するのもおすすめです。
また、長時間座ることになるため、痩せ型の人はなるべくタオルなどで補正して着崩れを防止します。襦袢の紐は、ゴム製やコーリンベルトを使うと長時間の着用でも着崩れしにくく快適です。
着崩れしにくい素材やサイズを選ぶことも重要なポイントです。ポリエステルは滑りやすい素材で、絹の着物と比較すると着崩れしやすいため、着付けや所作に気を配る必要があります。ポリエステル素材の着物を着用する場合、帯は正絹のものにすると着崩れしにくくなります。
また、ポリエステルは通気性や吸水性も絹に劣るため、暑い季節に着用する場合は吸水性に優れた下着を身に付けるとよいでしょう。
観劇の際は長時間着物を着用し、着席することになるため、サイズの合わない下着や着物では着崩れしやすいばかりでなく、不快に感じるおそれもあります。サイズの合ったものを身に付けるようにしましょう。
一工夫することで、着物で観劇する楽しみがさらに広がります。ここでは、着物での観劇をもっと楽しむためのコツをご紹介します。
扇子や懐紙など、和装ならではの小物を活用すると、和装の美しさが際立ち、着物での観劇をより楽しめます。これらの小物は、袂や帯に挟み込む形で収納も可能です。
荷物が多すぎると見苦しくなるほか、隣席の方の迷惑になったり、動きにくくなったりするおそれがあります。必要最小限の持ち物を和装用バッグに入れて持ち歩くことで、着物でも身軽に移動できるでしょう。
着物での観劇は、複数人数で参加するとより楽しめます。友人と誘い合って着物で出かけるほか、着物での観劇イベントに参加する方法などもあります。
着物での観劇の前後に、劇場の前やロビーで記念撮影することも良い思い出づくりになります。また、撮った写真をSNSで着物コーデとして発信し、着物仲間や友人と交流するのも、着物での観劇をより楽しめる方法の一つです。
着物での観劇では、公演に合わせた着物選びや観劇を意識した着付けが必要になるため、レンタル店の利用もおすすめです。
小物も含めて、たくさんのなかから着物を選べるメリットもあります。利用するレンタル店によっては、公演に合った着物選びのアドバイスも受けられるでしょう。
着物で観劇する際は、席や公演の格式、季節や演目の雰囲気に合わせて種類や色、柄、帯を選ぶと失敗せずに楽しめます。観劇時は「静かに」「周囲に配慮」「着物特有のマナー」を守ることが大切です。
帯や髪型、履物、匂い、所作など細部にまで気を配ることで、周囲に迷惑をかけず、自分も快適に観劇を楽しめるでしょう。正しい着物選びとマナー、注意点を守ることで、着物での観劇がより素敵な体験となります。
観劇に適した着物や小物選び、着付けに自信がない場合はレンタル店の利用もおすすめです。VASARAでは豊富な種類の着物や小物をご用意しているほか、観劇に適した着付けをレンタルプランに含める形でご提供しています。VASARAの着物レンタルをぜひご活用ください。
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